離職して専門実践教育訓練を受けるとき、失業保険と給付金を両方もらえるのか、生活費が途切れないか気になりますよね。この記事では、学費を支える給付と生活費を支える給付が、いつ・どちらから出るのかを時系列で紹介します。
専門実践教育訓練給付金と失業保険は併用できる?

専門実践教育訓練給付金(学費を支える給付)と失業保険(雇用保険の基本手当)は、同時に受け取れます。混同されやすいのが、名前のよく似た「教育訓練支援給付金」という別の給付です。
学費を支える給付は失業保険と同時に受け取れますが、生活費を支える給付は基本手当が終わってからバトンタッチします。ここを取り違えると、訓練中の生活費の見通しを誤ってしまいます(出典: 厚生労働省「専門実践教育訓練給付金 Q&A」)。
教育訓練支援給付金とは?専門実践教育訓練給付金との違い

教育訓練支援給付金とは、専門実践教育訓練を受けている間の生活費を支える給付です。名前は似ていても役割はまったく別で、失業保険と同時に受け取れるかどうかも分かれます。
| 制度 | 失業保険(基本手当)との関係 | 支える費用 |
|---|---|---|
| 専門実践教育訓練給付金(学費支援) | 同時に受け取れる | 受講費用の一部 |
| 教育訓練支援給付金(生活費支援) | 基本手当受給中は支給されない(終了後にバトンタッチ) | 訓練期間中の生活費 |
学費を支える専門実践教育訓練給付金の役割
専門実践教育訓練給付金は、受講した費用の一部が戻ってくる給付です。受講中に50%、修了して就職・資格取得で70%、賃金上昇まで満たすと最大80%が支給されます(令和6年10月の拡充で80%上限が追加。年間の上限あり)(出典: 厚生労働省「令和6年10月からの教育訓練給付金の拡充」)。
- もらえるもの: 受講費用の一定割合が、受講中と修了後に分けて支給される
- 年間の上限: 給付には年間の上限があり、高額な講座はそこまでで止まる
- 失業保険との関係: 基本手当を受け取っている間でも同時に受け取れる
生活費を支える教育訓練支援給付金の役割
無料カウンセリングに来ていただく方の中でも、「失業保険はあと数ヶ月で切れるのに、訓練はまだ続く」と、受給が終わった後の生活費を心配される方は少なくありません。教育訓練支援給付金は、基本手当が尽きた後の生活費を支える給付です。
- もらえるタイミング: 基本手当を受け取っている間は支給されない。基本手当が終わった後、訓練が続いていて要件を満たせば支給される
- 金額の目安: 令和7年4月以降に受講を始めた方は基本手当日額の60%相当(それ以前の80%から引き下げ)
- 位置づけ: 失業保険が切れた後の生活費を、修了まで下支えする役割
離職から修了まで、給付の流れを時系列で整理

離職→基本手当の受給→訓練開始と学費支援の申請→基本手当の終了→生活費支援へバトンタッチ→修了時の追加給付、の順に給付が切り替わります。今の自分がどの段階にいるかを時系列で確かめると、給付の取りこぼしや誤解を防げます。
離職して基本手当を受け取り始めるまで
まずは失業保険の受給から始まります。
- 離職後、住所地のハローワークで求職の申込と受給資格の決定を受ける
- 令和7年4月以降は、教育訓練を受ける場合に自己都合退職の給付制限が解除され、基本手当を早く受け取り始められる
訓練開始と専門実践教育訓練給付金(学費支援)の申請
基本手当を受け取りながら、訓練と学費支援の申請を進めます。
- キャリアコンサルティングを受け、受給資格を確認してから受講を開始する
- 受講中は原則6か月ごとに、学費支援(専門実践教育訓練給付金)の支給申請をする
基本手当終了後、生活費支援にバトンタッチし修了時の追加給付へ
基本手当が終わっても、給付は途切れません。所定給付日数を使い切っても訓練が続いていれば、要件を満たすことで生活費支援がバトンタッチします。さらに訓練を修了して資格取得や就職につながると、学費支援の追加分も受け取れます。
失業保険をもらいながら職業訓練を受ける場合の金額目安

失業保険をもらいながら専門実践教育訓練を受ける場合の金額は、基本手当と生活費支援の2階建てで考えます。令和7年4月以降に受講を始めた方は、生活費支援が基本手当日額の60%相当に引き下げられています。
基本手当(失業保険)の金額イメージ
基本手当は、離職前の賃金と年齢で決まります。
- 基本手当日額: 離職前6か月の賃金をもとに決まる(賃金が低い人ほど高い割合になる)
- 受け取れる総額の目安: 基本手当日額に所定給付日数(年齢・加入期間・離職理由で90〜330日程度)を掛けた額
- 注意: ハローワークの公共職業訓練には基本手当が延長される仕組みがあるが、専門実践教育訓練は別の制度で、基本手当は所定給付日数の範囲で受け取る
生活費支援の金額イメージと令和7年4月改正後の給付率
生活費支援は、基本手当が終わった後に受け取ります。
- 給付率: 令和7年4月以降に受講を始めた方は基本手当日額の60%相当(それ以前の80%から引き下げ)
- 試算例: 離職前の賃金から決まる基本手当日額が5,000円の方なら、生活費支援は1日あたり3,000円程度(5,000円×60%)。原則2か月ごとにまとめて支給される
- 旧レートに注意: 80%で試算している古い記事の金額をそのまま当てにしない
令和7年4月以降の60%への引き下げと、令和9年3月末までの暫定措置は厚生労働省の案内で確認できます(出典: 厚生労働省「教育訓練支援給付金の暫定措置」)。
専門実践教育訓練給付金の条件は?対象外になるケースも解説

受けられるかどうかは、雇用保険の加入期間と事前のキャリアコンサルティングで決まります。あわせて、受けようとしている講座が指定講座に該当するかの確認も必要です。
専門実践教育訓練給付金を受けられる条件
受給できるかどうかは、次の3つを満たしているかがポイントです。
- 雇用保険の加入期間: 初めての利用は2年以上、2回目以降は3年以上の被保険者期間が必要(離職した方は資格喪失日から原則1年以内に受講を開始する)
- キャリアコンサルティング: 事前にハローワーク等で受け、受給資格の確認をする
- 指定講座であること: 受けようとしている講座が専門実践教育訓練の指定講座かは講座ごとに異なるため、ハローワークで確認する
加入期間や申請の要件は住所地のハローワークで確認できます(出典: ハローワークインターネットサービス「教育訓練給付制度」)。
教育訓練支援給付金の年齢要件と対象外になるケース
生活費支援には、学費支援にはない年齢の要件があります。
- 年齢要件: 受講開始時に45歳未満であることが受給の要件
- 対象外になる例: 年齢要件を満たさない場合や、基本手当の受給資格がない場合は生活費支援の対象外になる
- その場合の考え方: 生活費支援が使えなくても、学費支援(専門実践教育訓練給付金)だけを使う形は残る
職業訓練中の失業保険はいつ振り込まれる?手続きの流れ

基本手当は失業認定のたびに、学費支援と生活費支援は支給申請の審査を経て、指定口座に振り込まれます。窓口は住所地のハローワークで、キャリアコンサルティングから支給申請まで順番に進みます。支給申請のタイミングを逃すと、条件を満たしていても受け取れないことがあります。
手続きの流れと振込タイミング
大きな流れは次のとおりです。
- キャリアコンサルティング: ハローワーク等で受ける
- 受給資格確認: 訓練前に給付金の要件を確認する
- 受講開始・受講申請: 専門実践教育訓練を受け始める
- 失業認定と基本手当の受給: 認定を受けながら基本手当を受け取る
- 生活費支援への切り替え: 基本手当の受給が終わったら申請を切り替える
- 修了・支給申請: 訓練修了時に追加給付を含めて申請する
手続きの詳細や必要書類は、住所地のハローワークで教えてもらえます(出典: ハローワークインターネットサービス「教育訓練給付制度」)。
ハローワークへの問い合わせ方法と必要書類
問い合わせ先は住所地を管轄するハローワークで、電話でも窓口でも受け付けています。主な必要書類は、受給資格を確認する書類、支給申請書、領収書などです。
訓練を修了した後にフリーランスとして独立を考えている場合は、失業保険の受給条件や開業のタイミングの扱いが変わります。
失業保険の残日数が足りない場合と押さえておきたい注意点

つまずきやすいのは、失業保険の残日数不足、離職から受講開始までの期限、そして年齢要件です。受講を決める前に、残日数と年齢要件を最新の制度で確認しておくと安心です。
失業保険の残日数が足りないときはどうなるか
残日数が少ないと訓練の途中で基本手当が尽きますが、要件を満たせば、基本手当の終了後に生活費支援でつなげます。次のどれかに当てはまる方は、受講を決める前に一度ハローワークで確かめておきましょう。
- 残日数不足: 失業保険の残日数が指定の日数に満たない
- 受講開始が遅い: 離職(資格喪失日)から受講開始まで1年以上経過している
- 年齢要件: 教育訓練支援給付金の年齢要件(45歳未満)を満たさない
- 旧レートで計算: 受講開始が令和7年4月以降なのに旧レート(80%)で金額を計算している
令和7年4月の制度改正で変わった点
令和7年4月の改正で、いくつかの扱いが変わりました。
- 自己都合退職の給付制限解除: 令和7年4月以降、教育訓練を受ける場合に給付制限が解除される
- 生活費支援の給付率引き下げ: 80%から60%へ(令和7年4月以降の受講開始者)
- 暫定措置の期限: 教育訓練支援給付金は令和9年3月31日までの暫定措置
自己都合で退職した方の給付制限が解除される点は、厚生労働省の案内で確認できます(出典: 厚生労働省「教育訓練を受ける場合の給付制限の解除」)。
未経験からIT・エンジニア転職を目指す場合の注意点
IT・エンジニアへのキャリアチェンジで受講する場合、受けたい講座が指定講座かどうかの確認が欠かせません。無料カウンセリングに来ていただく方の中でも、申し込む前に対象講座かどうかを確かめておきたいという声は少なくありません。
- 講座ごとに扱いが違う: プログラミングスクール等が専門実践教育訓練の指定講座に該当するかは講座ごとに異なる
- 確認先: COACHTECH のようなスクールが指定講座に該当するかは、各スクールとハローワークで確認する
よくある質問
訓練を途中で退所した場合、給付金や失業保険はどうなりますか?
訓練を途中でやめると、その後の学費支援や生活費支援は原則として支給されなくなります。すでに受け取った分の扱いや、基本手当がどうなるかは退所の理由や時期で変わるため、退所を考えた段階でハローワークに相談しておくと安心です。
在職中(働きながら)でも専門実践教育訓練給付金は受け取れますか?
在職中でも、条件を満たせば専門実践教育訓練給付金(学費支援)は受け取れます。ただし在職中は失業保険(基本手当)を受給しないため、この記事で扱った併用や生活費支援の話とは前提が変わります。働きながら受ける場合の詳しい条件は、ハローワークで確認してください。
まとめ
専門実践教育訓練給付金と失業保険は、学費支援と生活費支援で扱いが分かれます。
- 学費支援(専門実践教育訓練給付金): 失業保険と同時に受け取れる
- 生活費支援(教育訓練支援給付金): 基本手当が終わってからバトンタッチ
- 令和7年4月改正: 生活費支援は60%相当に引き下げ(古い80%で試算しない)
どちらの話かを切り分ければ、いつ・いくら受け取れるかが見えてきます。自分が対象かは受講を決める前にハローワークで確認しましょう。





