セキュリティエンジニアに未経験からなれるかは、IT完全未経験か、他のエンジニア職を経験しているかで大きく変わります。この記事では、自分の現在地に合わせた現実的な学び方の道筋を紹介します。
セキュリティエンジニア未経験でもなれるか
セキュリティエンジニアへ未経験から進む現実的な近道は、開発の基礎を土台にしたうえで、自分の現在地がIT完全未経験か他のエンジニア職からの転向かを見てルートを選ぶことにあります。同じ「未経験」でも、この2つでは踏み出す一歩がまったく違うからです。
先に学び方の道筋を知りたい方は、開発起点のロードマップから読み進めても構いません。「やめとけ」と言われる理由が気になる方は、「やめとけ」「なくなる」と言われる理由を先に確認できます。
2つのルートで、現実的な難易度と最初の準備はこう変わります。
| ルート | 現実的な難易度の目安 | 最初に必要な準備 |
|---|---|---|
| IT完全未経験ルート | 開発の基礎から積み上げる必要があり、ハードルは高め | 開発の基礎学習から始める |
| 他のエンジニア職からの転向ルート | 実務経験を土台にできるため、ハードルは比較的低い | セキュリティ分野の知識を上乗せする学習 |
IT完全未経験ルートの難易度
IT自体が初めての場合、セキュリティの前に、まず開発やシステムの基礎を身につける段階が必要です。セキュリティは「守る対象(システムやアプリ)」を理解して初めて成り立つ仕事なので、守る対象を作れないまま守り方だけを学んでも実感がわきにくいからです。
そのため、いきなりセキュリティ専門職を目指すより、開発の基礎を学び、まずはITエンジニアとして一歩を踏み出すルートが現実的です。求人でも、セキュリティ職は経験者を想定した募集が多く、完全未経験の入り口は限られます。
IT完全未経験からのキャリア全体の進み方は、以下の記事で詳しく紹介しています。
他のエンジニア職からの転向ルートの難易度
インフラや開発など、他のエンジニア職の実務経験がある方は、その経験をそのまま土台にできるため、転向のハードルは比較的低めです。サーバーやネットワーク、アプリの動きをすでに理解していれば、そこにセキュリティの知識を上乗せする形で進められます。
実際、セキュリティの現場ではネットワークやサーバー、アプリ開発の知識が日常的に求められます。今の職種で得た知識が無駄にならず、キャリアを完全に捨てずに専門性を移していけるのがこのルートの強みです。
セキュリティエンジニアに向いている人
地道な調査や検証を続けられる人、新しい攻撃手法や技術を学び続けることが苦にならない人は、セキュリティの仕事と相性が良いといえます。攻撃側と守る側の技術は日々変わります。学び続ける姿勢が、長く働くうえで役立ちます。
向き不向きは、年齢や現職の業種だけで決まりません。むしろ、これまでの仕事で培った慎重さや、原因を突き止めるまで諦めない姿勢が活きる場面が多い仕事です。
セキュリティエンジニアへの開発起点のロードマップ

未経験からのロードマップでは、資格の勉強より先に、Webアプリを実際に作れるだけの開発の基礎を固めることが土台になります。ここを飛ばすと、セキュリティ対策の理解が表面的な暗記で止まりやすくなります。
セキュリティエンジニアになるには、という問いへの答えは、遠回りに見えても「まず開発を理解する」ところから始まります。
なぜ開発の基礎がセキュリティ理解につながるか
代表的な攻撃であるSQLインジェクションを例にすると、対策の本質は「データベースを操作するコードをどう書くか」にあります。データベースを操作するコードを自分で書けて初めて、なぜその対策が効くのかを実感を持って理解できるようになります。
開発を知らないままだと、「こう書けば安全」というルールを丸暗記するだけになりがちです。実際、プログラミングの学習でも、ログイン機能やセッション管理といった認証まわりは質問が集まりやすい部分で、開発の理解と地続きになっています。守る対象の作りが分かるほど、脆弱性がどこに生まれるかも見えてきます。
未経験から進める学習と最初の一歩
最初の一歩は、セキュリティの専門知識よりも先に、Webアプリを一通り作れる開発の基礎を固めることです。フロントエンドやサーバーサイドの技術、データベース操作といった土台があると、そのあとのセキュリティ学習で迷いにくくなります。
認証やデータベースまわりでつまずいたときに相談できる相手がいると、独学より学習が止まりにくくなります。COACHTECHはセキュリティ専門のスクールではなく、Webアプリ開発(バックエンド技術)を中心に学ぶスクールですが、実装課題に取り組みながら開発の基礎を固められる環境です。
開発の基礎学習をどう進めるか、自分の現在地に合わせた学び方を相談したい方は、以下から無料カウンセリングの日程を選べます。
セキュリティエンジニアを目指す資格取得の順番

資格は「何を取るか」より、取る順番を間違えないことが未経験者にとっては大事です。実務経験がないままいきなり専門性の高い資格に挑むと、内容が抽象的に感じられて挫折しやすいからです。
無理なく進める順番は、次の3段階に分けられます。
| 段階 | 取り組む内容 | 目安のタイミング |
|---|---|---|
| 最初のステップ | 情報セキュリティマネジメント試験などでITとセキュリティの基礎を固める | 学習の初期 |
| 次のステップ | 実務に近い経験を積みながら、知識を実践で確かめる | 学習を進めながら〜就業後 |
| その先のステップ | 情報処理安全確保支援士など専門性の高い資格に挑戦する | 実務経験を積んだ後 |
各資格の受験料や試験範囲などの詳しい比較は、別途セキュリティ資格を扱う記事に譲り、ここでは「順番」だけを取り上げます。
最初に取り組みたい情報セキュリティマネジメント試験(SG)
最初のステップとしては、情報セキュリティマネジメント試験(SG)のような基礎的な試験から入るのが取り組みやすい選択です。IT全般とセキュリティの基礎を体系的に学べるため、未経験の段階でも学習の地図を作りやすいのが利点です(出典: IPA 情報セキュリティマネジメント試験)。
いきなり難関の国家資格や海外の上位資格を目標にすると、前提知識が足りず遠回りになりがちです。まずは基礎を固め、学びながら自分の適性も確かめていきましょう。
実務経験を経て情報処理安全確保支援士へ進む段階
基礎を固めたら、実務に近い経験を積みながら、その先に情報処理安全確保支援士のような専門性の高い資格を見据えます。情報処理安全確保支援士はセキュリティ分野の国家資格で、実務の裏付けがあってこそ知識が定着しやすい性質の資格です(出典: IPA 情報処理安全確保支援士試験)。
資格は、実務でできることを増やすための道具として使うものです。順番を守れば、学んだ内容が次の仕事に無理なくつながっていきます。
セキュリティエンジニアが「やめとけ」「なくなる」と言われる理由

「やめとけ」「なくなる」という声は、労働の負荷と将来性への不安から来ています。結論を先に言うと、負荷の実情は分野や勤務先で大きく変わり、仕事そのものがなくなる見込みは低いというのが現実的な見方です。
「やめとけ」と言われる背景にある労働負荷の実情
「やめとけ」と言われる背景には、障害やインシデント(不正アクセスなどの事故)の緊急対応で勤務時間が読みにくい場面があることが挙げられます。攻撃は時間を選ばないため、監視や対応を担う職種では負荷が高くなりやすいのは事実です。
ただし、負荷はセキュリティ職のすべてに当てはまる話ではありません。待遇や負荷は担当分野と勤務先で幅があり、一括りに「きつい仕事」と決めつけないことが大切です。
- 監視・対応型: 24時間監視や障害時の緊急対応が中心で、勤務時間が読みにくい
- 診断・設計型: 脆弱性診断や設計が中心で、日中勤務が多く負荷は落ち着きやすい
年収の目安や上げ方については、以下の記事で詳しく紹介しています。
「なくなる」どころか人材不足が続く現実
「なくなる」という不安とは反対に、セキュリティ人材はむしろ不足が続いています。サイバー攻撃が高度化し続けるなかで、守る側の人材への需要は年々高まっているためです。
国は、情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)を2030年までに5万人へ増やす目標を掲げています(2025年4月時点で約2.4万人)(出典: 経済産業省「サイバーセキュリティ人材の育成促進に向けた検討会 最終取りまとめ」)。国を挙げて育成を急いでいるのは、それだけ守る側の人材が足りていない裏返しでもあり、未経験からでも段階を踏めば入り込む余地は十分にある分野だといえます。
よくある質問
セキュリティエンジニアの仕事はしんどいですか?
しんどさは求人選びである程度見分けられます。応募前に、その仕事が監視・運用系か、診断・設計系のどちらに近いかを求人票で確かめてみてください。見ておきたいのは、シフト勤務や夜間・休日の当番(オンコール)があるか、インシデント時の対応体制(一次対応を自分が担うのか、専門チームがいるのか)、想定される復旧対応の時間の3点です。求人票に書かれていなければ、面接や転職エージェントとの面談で「オンコールの頻度」「緊急対応の分担」を質問すると、入社後の働き方のイメージがつかめます。
未経験でも転職エージェントは使えますか?
使えます。ただしIT完全未経験の段階では、紹介できる求人が限られることがあります。まずは開発の基礎を身につけ、ITエンジニアとしての経験や基礎的な資格を用意しておくと、エージェントも提案しやすくなります。登録だけ先に済ませ、並行して学習を進めておけば、準備が整ったタイミングでそのまま動き出せます。
まとめ
セキュリティエンジニアに未経験からなれるかどうかは、自分の現在地で答えが変わります。IT完全未経験なら開発の基礎から、他のエンジニア職からの転向ならその経験を土台に、というように出発点を確認することが最初の判断です。
順番も同じくらい大切です。まず開発の基礎を理解し、そのうえでセキュリティへ横展開していく進み方なら、学習が暗記だけで止まりません。「やめとけ」「なくなる」という声に振り回されず自分のペースで準備を進めれば、次に何を学べばいいかが分かった状態で一歩を踏み出せます。







