未経験からエンジニアを目指していて、あるいは働き始めたばかりで「きつい」と感じている方へ。この記事では、きつさの原因を仕分けて、いつ楽になるかの見通しと、続けられるかを見分ける判断基準を紹介します。
未経験エンジニアがきついと言われる主な理由

未経験エンジニアの「きつさ」は、原因を仕分けて対策すれば、多くが時間とともに軽くなる一時的な壁です。だから、まず「何がきついのか」を具体的に分けて見ることが、続けるかどうかを冷静に判断する第一歩になります。
今の苦しさがいつ楽になるかを先に知りたい方は学習期から1年後までのきつさの時系列へ、続けられるか不安な方は続けられるかを見分けるサインへ進んでください。
専門性・継続学習・働き方・人間関係の4つの要因
きついと言われる背景には、Web・システム・インフラなど職種を問わず、大きく4つの要因があります。
- 専門性の高さ: 扱う知識や技術が幅広く、覚えることが多い
- 継続的な学習: 技術の移り変わりが速く、働き始めてからも学び続ける必要がある
- 働き方の制約: 客先常駐やSES(客先に常駐して働く契約形態)など、環境を選びにくい場合がある
- 人間関係: チーム開発やクライアントとのやり取りで気を使う場面が多い
どれも実際によく言われるきつさですが、この中には自分の努力で対策できるものと、入る前の見極めが必要なものが混ざっています。
データで見ると情報通信業はむしろ定着しやすい
「きつい」という体感とは裏腹に、データで見ると情報通信業は他業界より人が定着しやすい傾向があります。厚生労働省の令和6年雇用動向調査では、情報通信業の離職率(一般労働者)は9.8%で、全産業平均の11.5%より低い水準でした(出典: 令和6年雇用動向調査結果の概況)。
さらに、経済産業省の試算では、2030年に最大で79万人規模のIT人材が不足するとされています(出典: IT人材需給に関する調査)。未経験者を受け入れて育てる必要が、業界側にあります。
きつさは「対策できる要因」と「見極めが必要な要因」に分かれる

きつさの4つの要因は、自分で対策できる要因(専門性・継続学習)と、企業選びの段階で見極める要因(働き方・人間関係)に分けられます。この仕分けができると、「全部が自分の力不足なのでは」という不安がかなり整理されます。
| 要因 | 種別 | 対処の方向性 |
|---|---|---|
| 専門性の高さ(知識・技術の習得) | 対策できる要因 | 学習の進め方や相談できる環境を整える |
| 継続的な学習(新技術・エラー対応) | 対策できる要因 | つまずいた時の対処習慣を作る |
| 働き方の制約(客先常駐・SES) | 見極めが必要な要因 | 求人・企業選びの段階で確認する |
| 人間関係・企業文化 | 見極めが必要な要因 | 入社前の情報収集で見極める |
対策できる要因(専門性・継続学習)は進め方で備える
対策できる要因は、学習の進め方でかなり備えられる部分です。エラーで手が止まる、新しい技術についていけないといったつまずきは、未経験のうちは誰にでも起こります。
大事なのは、つまずいた時にどう動くかの習慣です。エラー文をそのまま検索する、AIに質問する、詰まった内容を書き出して人に相談する、といった対処の型を持っておくと、同じ壁でも越えやすくなります。
見極めが必要な要因(働き方・人間関係)は企業選びで確認
一方で、見極めが必要な要因は入社してからでは変えにくい部分です。客先常駐やSESという働き方、配属先の文化、人間関係は、求人票や面接だけでは見えにくく、入ってから「思っていたのと違う」と感じやすいところです。ここは努力より、入る前の情報収集で見極めるほうが安全に進められます。
スクール経由で就職先や案件先の紹介を受ける場合も、紹介先が自社開発・受託開発中心かどうかは確認しておきたいポイントです。
客先常駐やSESという働き方の選び方や準備は、以下の記事で詳しく紹介しています。
学習期から1年後までのきつさの時系列

きつさには時期によって山があり、今が一番苦しい時期なら、この先は少しずつ軽くなっていきます。学習期から働き始めて1年前後までを4つの段階に分けると、どのあたりに自分がいるのかが見えてきます。
学習期の停滞とエラー沼
最初の山は学習期です。エラーで手が止まり、理解が追いつかず、進んでいる実感が持てない時期は珍しくありません。ここで役立つのは、無理に毎日同じ量をこなそうとせず、自分のペースを保つことと、同じように学ぶ仲間とつながることです。
弊スクールで学んだ卒業生にも、2週間ほど手が付かなくなった停滞期を、学習計画に沿って自分のペースを守ることと、学習仲間との交流会で乗り越えた方がいます(参考: 36歳から未経験でフリーランスに転身した卒業生の話)。
配属直後と半年前後の踊り場
働き始めてからも山は続きます。配属直後の1〜3ヶ月は開発環境の構築や社内用語の壁に戸惑い、半年前後には「周りに比べてできていない」と感じる踊り場に当たる人も多くいます。この時期に環境構築やエラー対応を繰り返した経験は、後で同じ場面に出会ったときに、迷わず対処する力になります。
別の卒業生は、開発環境の構築を繰り返しながら乗り越え、その経験が今の仕事で役立っていると話しています(参考: 営業職から転身した2児の母の卒業生の話)。
1年前後で1人で進められる実感
1年前後になると、多くの人が「調べながらでも1人で進められる」という実感を持てるようになります。最初は先輩に聞かないと動けなかった作業も、この頃には自分で調べて片づけられます。今きついと感じていても、この段階まで来れば、以前は詰まっていた作業を落ち着いて進められるようになっている、と知っておくと気持ちが楽になります。
続けられるかを見分ける行動と感情のサイン

続けられるかどうかは、性格が向いているかではなく、今出ているサインから逆算できます。同じ「きつい」でも、一時的な壁なのか、環境そのものに問題があるのかで、取るべき行動は変わります。
一時的な壁である可能性が高いサイン
次のようなサインが出ているなら、今のきつさは時間で解決しやすい一時的な壁の可能性が高いです。
- 少しずつ前進している: 自力で解決できる範囲が、先月より広がっている
- 相談先がある: 詰まった時に聞ける人や場所がある
- 休むと戻れる: 疲れて離れても、数日で「またやろう」と思える
弊スクールで学んだ卒業生にも、「もう無理かもしれない」と感じた停滞を、質問できる環境に支えられて乗り越えた方がいます(参考: 元バリスタから未経験で転身した卒業生の話)。
環境要因を疑ったほうがよいサイン
反対に、次のようなサインが続くなら、自分の努力より環境の問題を疑ったほうがよいでしょう。
- 相談できない: 質問できる相手や仕組みがなく、放置される
- 求人と違う: 業務内容や労働時間が、求人票の説明と大きく違う
- 回復しない: 休んでも気力が戻らず、体調に影響が出ている
こうしたサインが強いときは、我慢して続けるより、早めに相談先を確保したり、環境を変える選択肢を検討したほうが安全です。
よくある質問
35歳前後で未経験からエンジニアを目指すのは遅いですか?
30代後半や40代から未経験で学び始めて、エンジニアに転身する方もいます。年齢だけで向き不向きは決まりません。ただ、若い頃より学習時間の確保が難しくなりやすいので、無理のない学習計画を立てられるかが分かれ目になります。IT人材の不足が続く見通しもあり、年齢を理由に諦める必要はありません。
インフラエンジニアなど職種によってきつさの理由は変わりますか?
きつさの土台になる4つの要因(専門性・継続学習・働き方・人間関係)は、Web・システム・インフラなど職種を問わず共通します。ただ、どれが強く出るかは職種によって変わります。たとえばインフラ系は運用や夜間の対応が業務に含まれることがあり、働き方の要因を大きく感じる場面もあります。とはいえ基本の乗り越え方は共通なので、まずは自分のつまずきがどの要因なのかを見分けるのが役立ちます。
まとめ
未経験エンジニアのきつさは、原因を仕分ければ、多くが時間とともに軽くなる一時的な壁です。専門性や継続学習といった自分で対策できる要因は学習の進め方で備えられ、客先常駐や人間関係といった環境しだいの要因は入る前の情報収集で見極められます。時期による山を知り、今出ているサインを見れば、続けられるかどうかは自分で判断できます。
エンジニアになる道のり全体をもう一度確認したい方は、以下の記事で紹介しています。






