フリーランスとして働き続けると、老後の年金や生活費が不安になる方は少なくありません。この記事では、年金の実態や資産形成の対策、フリーランスエンジニアとして老後も働き続けるための考え方までを紹介します。
フリーランスの老後は悲惨なのか

フリーランスエンジニアの老後不安は、年齢に左右されにくい働き方を土台に、年代に応じた資産形成を早く始めれば着実に減らせます。「悲惨」という言葉が先に立ちがちですが、その中身は漠然とした不安であることがほとんどです。
先に具体的な数字や行動を知りたい方は、フリーランスの年金額の相場や年代別の始め方から確認できます。
「フリーランスの老後は悲惨」と言われる理由
「悲惨」と言われる主な理由は、年金額が会社員より少ないことと、歳を重ねても働き続けられるかが読めないことの2つです。フリーランスは厚生年金がなく国民年金だけになるため、受け取れる年金額が会社員より少なくなります。加えて、収入が不安定で退職金もないことが不安を大きくしています。
ただ、この2つはどちらも対策が用意されています。年金の少なさは制度で補え、働き続けられるかは職種選びで大きく変わります。
今から独立しても老後に間に合うのか
今から動き出しても、老後にはまだ十分間に合います。資産形成は始めるのが早いほど有利ですが、40代からでも取れる対策はあります。
実際、無料カウンセリングに来ていただく方の中にも、「将来フリーランスとしてやっていけるか」「今の仕事を続けていけるか」という不安から一歩を踏み出せずにいる方が一定数います。こうした不安も、中身を「年金」と「働き続けられるか」に分けて考えれば、やるべきことははっきりします。
フリーランスの年金はいくらもらえるか

フリーランスが老後に受け取れる公的年金は、原則として国民年金(老齢基礎年金)だけです。会社員のように厚生年金が上乗せされないため、受給額は会社員より少なくなります。
国民年金だけの場合の月額目安
国民年金だけの受給額は、満額でも月7万円程度にとどまります。40年間、欠かさず保険料を納めた場合の目安です。未納期間があると、さらに下がります。保険料は令和8年度で月額17,920円、満額は月70,608円です(出典: 日本年金機構 国民年金保険料額、日本年金機構 令和8年4月分からの年金額等について)。
会社員の厚生年金との差
会社員は国民年金に厚生年金が上乗せされるため、受給額の平均は月14〜15万円程度とされます。フリーランスとの差は月7〜8万円程度で、老後の生活費に直結する金額です。ただし、この差は制度を使えば埋められます(出典: 厚生労働省 令和6年度厚生年金保険・国民年金事業の概況)。
厚生年金の代わりになる制度

厚生年金の代わりに老後資金を上乗せする手段として、フリーランスにはiDeCo・小規模企業共済・国民年金基金・付加年金の4つがあります。いずれも税制優遇があり、早く始めるほど積み立てられる額が増えます。
iDeCoと小規模企業共済
iDeCo(個人型確定拠出年金)と小規模企業共済は、掛金が全額所得控除になり、節税しながら老後資金を積み立てられるのが強みです。iDeCoはフリーランスの場合、国民年金基金と合わせて月額6.8万円まで掛けられます。小規模企業共済は月額1,000円〜7万円の範囲で、廃業・退職のときに受け取れます(出典: iDeCo公式サイト、中小機構 小規模企業共済 掛金について)。
国民年金基金と付加年金
国民年金基金は、掛金に応じて将来の年金額を上乗せできる制度です。付加年金は月額400円の付加保険料を納めると、「200円×納付月数」が老齢基礎年金に上乗せされます。この2つは併用できず、加入するときはどちらか一方を選びます(出典: 日本年金機構 付加保険料の納付、全国国民年金基金)。
フリーランスの国民健康保険や国民年金の手続きは、以下の記事で詳しく紹介しています。
フリーランスエンジニアの老後は年齢に左右されにくい

フリーランスエンジニアは、老後の「働き続けられるか」という不安を職種特性でカバーしやすい仕事です。年金の少なさは制度で補えますが、そもそも長く働けるなら不安は大きく減ります。
体力に依存しない在宅・裁量労働という働き方
エンジニアの仕事は、体力に依存せず在宅・裁量労働で年齢を重ねても続けやすいのが特徴です。店舗経営や施工のように体力を要する自営業と違い、実装やテストは成果が明確で、スキルを更新し続ければ高齢でも需要があります。働くペースを自分で調整しやすく、老後に少しずつ量を減らして働くこともできます。
在宅フリーランスエンジニアの案件の実態や単価は、以下の記事で詳しく紹介しています。
40代未経験からでも続けられた卒業生の実例
年齢が障壁になりにくいことは、実例からも見えてきます。弊スクールの卒業生でも、40代・未経験からフリーランスエンジニアに転身し、その後も長く働き続けている方がいます(参考: 40代・未経験からフリーランスエンジニアに転身した卒業生)。
「年齢がネックで仕事をもらえないのでは」という不安から挑戦し、転身後に約2年半にわたって案件を獲得し続けている卒業生もいます(参考: 44歳・未経験からフリーランスエンジニアへ)。こうした働き方は、卒業後に案件獲得の支援を受けられる環境があると実現しやすくなります。
フリーランスと転職、老後の安定性で比較する

老後の安定性だけで見ると、年金と社会保険の手厚さでは会社員が有利です。一方で、フリーランスは定年がなく働き続けやすいという強みがあります。安定を最優先するなら会社員、働き続けやすさとスキルの伸ばしやすさを取るならフリーランスが向きます。
| 働き方 | 老後の年金・資産形成 | 働き続けやすさ |
|---|---|---|
| フリーランス | 国民年金のみ。iDeCo等で自分で上乗せする | 定年なし。健康と需要次第で長く働ける |
| 会社員(転職) | 厚生年金が上乗せ。社会保険料は会社と折半 | 定年・再雇用が区切り。65歳前後まで |
フリーランスが不利になりやすい点
フリーランスが不利になりやすいのは、年金が国民年金だけで、社会保険料も全額自己負担になる点です。厚生年金や退職金がなく、収入も景気や案件次第で上下します。老後資金は自分で計画的に準備する前提で動く必要があります。
会社員・転職が有利になりやすい点
会社員は厚生年金の上乗せがあり、社会保険料を会社と折半できるため、老後の受給額と保険負担で有利です。安定を重視するなら、転職して会社員に戻る選択も現実的です。ただし定年があり、65歳前後で働き方を見直す必要が出てきます。
未経験からエンジニアを目指すルートは、以下の記事で詳しく紹介しています。
老後の資産形成は何から始めるべきか

老後の資産形成は、始める年齢によって優先順位が変わります。共通するのは「早く・少額でも始める」ことです。恐怖で立ち止まるより、まず動き出すほうが老後資金は貯まりやすくなります。
早く始めるほど有利になる理由
資産形成は、始める年齢が早いほど毎月の負担が軽くなり、複利も長く効きます。同じ老後資金を用意するなら、20代で始める人と40代で始める人では毎月の積立額が大きく変わります。まずは無理のない額でiDeCoやNISA(少額投資非課税制度)を始め、収入が増えたら掛金を上げていくのが現実的です。
年代別に見る優先順位の一覧
年代別に、最初に手をつけたい対策をまとめました。自分の年代の行を目安にしてください。
| 年代 | 最優先の対策 | 補足 |
|---|---|---|
| 20代・30代前半 | iDeCo・NISAを少額でも早く開始 | 複利が長く効く。無理のない額から |
| 30代後半・40代 | iDeCoに加え小規模企業共済で掛金を厚く | 収入が安定したら増額する |
| 40代後半以降 | 国民年金基金・付加年金で受給額を底上げ | 繰り下げ受給も選択肢。確実性を重視 |
必要な老後資金は、世帯構成や生活水準、試算方法によって2,500万〜6,720万円ほどと大きな幅があります。これは一つの公式統計ではなく、夫婦2人か単身か、持ち家か賃貸かといった前提の違いで、いくつもの試算がばらついた結果です。決まった目標額にこだわるより、今の生活に合わせて積立額を決めるほうが続けやすいです。
よくある質問
個人事業主でも厚生年金に入れる場合はあるか
原則として、個人事業主やフリーランスは厚生年金に加入できず、国民年金のみになります。ただし、自分の会社を法人化して役員報酬を受け取る場合や、厚生年金のある会社で働きながら副業でフリーランスをする場合は、本業の雇用を通じて厚生年金の対象になります。加入の可否は働き方によって変わるため、詳しくは日本年金機構や年金事務所で確認してください。
iDeCoと国民年金基金は同時に利用できるか
同時に利用できます。ただし、フリーランス(第1号被保険者)の場合、iDeCoと国民年金基金の掛金は合算で月額6.8万円までという上限があります。どちらに多く配分するかは、受け取り方や運用方針で選ぶとよいでしょう。付加年金を利用している場合は、国民年金基金と併用できない点にも注意してください。
まとめ
フリーランスの老後は、「悲惨」という言葉ほど手の打ちようがないものではありません。年金が国民年金だけで会社員より少ないのは事実ですが、iDeCoや小規模企業共済などの制度で差は埋められます。フリーランスエンジニアなら、体力に左右されにくい働き方で長く働き続けやすいことも、大きな支えになります。
大切なのは、不安を「年金」と「働き続けられるか」に分けたうえで、20代なら少額のiDeCoから、30代後半以降なら小規模企業共済を厚めにと、自分の年代の一手から動き出すことです。
これからフリーランスエンジニアを目指すか迷っている方は、独立までの全体像を以下の記事で紹介しています。
老後資金の土台になる今の収入を見直したい方は、以下の記事も参考になります。









